アルコールインクアート講師の選び方|7つのポイント

「アルコールインクアートを習いたいけれど、どの先生を選べばいいのだろう?」
SNSや検索で調べてみると、たくさんの講師やレッスンが見つかります。作品の雰囲気も、教え方も、価格もさまざまです。だからこそ、何を基準に選べばいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
私がアルコールインクアート講師を選ぶときに、まず大切にしてほしいと思っていることがあります。
それは、作品を見たときに「この先生の作品が好き」「こんなふうに描いてみたい」と、心が動くかどうかです。
アートは、機能だけで価値を測れるものではありません。
私は、アートには「情緒価値」がとても大きいと思っています。
だからこそ、講師の経歴や価格だけでなく、自分の感覚がその作品に惹かれるかということも、講師選びの大切な基準になります。
ただし、「作品が好き」だけで十分かというと、そうではありません。
きちんと描けるようになりたいのであれば、その先生が技術を言葉にして伝えられるか。そして、講師自身が今も一人の表現者として制作を続けているか。この両方を見ることが大切です。
今回は、KANADEL ARTが考える「アルコールインクアート講師の選び方」についてお伝えします。

アルコールインクアート講師はどう選べばいい?
結論からお伝えすると、私が大切だと思うのは、「この先生の作品が好き」と心が動くこと、理論や技法を言語化して教えられること、そして講師自身が作品を描き続けていることです。
この3つは、どれか一つだけあればいいというものではありません。
作品に惹かれる感覚は、あなた自身がこれから描きたい表現を見つける入口になります。一方で、講師としては「なぜこうなるのか」を説明できる力が必要です。そして、その感覚を鈍らせないためには、講師自身が表現者であり続けることも大切だと考えています。
① まずは「この先生の作品が好き」と思えるか
「どんな基準で習う先生を決めればいいですか?」と聞かれたとき、私は以前から「この先生の作品が好き、と心が躍るかどうかで決めたらいい」とお伝えしています。
作品を見たときに、理由はうまく説明できなくても「好き」「こんなふうに描きたい」と感じる。その感覚は、とても大切です。
なぜなら、その先生が持つ色彩感覚や余白、流れ、表現の方向性と、自分が求めているものが近い可能性が高いからです。
レッスンでは、「もう少し柔らかくしたい」「ここをもっとこうしたい」といった、言葉にしきれない感覚がたくさん出てきます。
そんなとき、感覚の近い講師であれば、その「こうしたい」を直感的に汲み取り、具体的な方法へ変換してもらえる可能性が高くなります。
アートは、単純な機能価値だけで選ぶものではありません。作品を見て、自分の心が動くか。まずはそこを大切にしてみてください。

② 「感覚」だけではなく、理論と言葉で教えてくれるか
一方で、講師として「基礎や技法を言語化して伝えられること」は大前提だと思っています。
アルコールインクアートは、とても感覚的に見えるアートです。インクを落とし、風を送り、そのときに生まれる流れやにじみを活かして描きます。
もちろん、偶然性や感覚を楽しむことは、このアートの大きな魅力です。
ただ、きちんと習って描けるようになりたいのであれば、「感覚でやってみて」だけでは足りません。
「先生と同じようにしているのに形が違う」
「昨日は描けたのに、今日はできない」
「どこを変えればいいのか分からない」
そんな壁にぶつかることがあります。
インクの量、アルコールとのバランス、風の強さ、角度、距離、タイミング。描けたことにも、描けなかったことにも理由があります。
だから私は、できる限りそれらを理論に落とし込み、言語化して伝えることを大切にしています。
「なぜできないのか」が分かれば、改善できます。「なぜできたのか」が分かれば、再現できます。そこまで伝えられるかどうかは、講師を選ぶうえで大切なポイントです。

③ 講師自身が今も「自分の作品」を描いているか
そして、今回改めて強くお伝えしたいのが、講師自身が今も制作を続けているかということです。
レッスンで見本を描くことと、自分自身の作品をつくることは、私の中では少し違います。
自分が本当に描きたいものと向き合い、色を選び、迷い、試し、自分の「こうしたい」を作品へ落とし込んでいく。
そこには、その人自身の感覚がすべて出ます。
だから私は、レッスンをしている人ほど、自分自身の制作を続けた方がいいと思っています。
自分が表現することをやめれば、知らず知らずのうちに感覚が鈍っていくことがあるからです。
目の前の受講生が「こんな感じにしたい」と伝えてくれたとき、その言葉の奥にある感覚まで汲み取るには、講師自身も表現者であり続ける必要があると私は思っています。

④ 「教える人」である前に、一人の表現者であるか
アルコールインクアート講師になると、当然ながら「教える時間」が増えていきます。
だからこそ私は「伝え手」であるためにも、まず自分が表現者であることを大切にしたいと思っていますし、今でも描くことが大好きで、これまで何万枚と描いていてもなお、今だに楽しくて楽しくて仕方ありません。
企業様から大型作品のオーダーをいただいたり、著作権の一部譲渡を伴う作品制作をしたりする中では、レッスンとはまた違う緊張感があります。
作品として何を届けるのか。相手が求めているものをどう汲み取り、自分の表現としてどう形にするのか。
そうやって制作に向き合い続けることは、アーティストとしてだけでなく、講師としても必要なことだと感じています。
基礎や技法を言語化して伝えることは、講師としての土台。
そのうえで、自分自身も表現を続け、感覚を磨き続ける。
私は、その両方があって初めて、目の前の人の「こう描きたい」に寄り添えるのだと思っています。
⑤ 「できない」を才能やセンスだけの問題にしない
アルコールインクアートを学んだものの、思うように描けず、「私にはセンスがない」「向いていない」と自信をなくしてしまう方もいます。
でも、私は「描けない=センスがない」とは思いません。
なぜ描けないのかを、まだ理解できていないだけかもしれない。必要なポイントを、まだ言葉で教えてもらえていないだけかもしれない。
それなのに「自分には向いていない」と思い、アートから離れてしまうのは、とてももったいないことです。
講師には、受講生の「できない」を見て、どこでつまずいているのかを見つけ、本人が理解できる言葉に変えて伝える力が必要です。
KANADEL ARTがテキストや言語化を大切にしている理由も、ここにあります。
⑥ 「先生と一緒なら描ける」で終わらない
レッスン中には描けた。でも、自宅に帰ると描けない。
それでは、本当の意味で身についたとは言いにくいと思っています。
レッスンの目的は、先生の隣で作品を完成させることだけではありません。
自分一人になったときにも、「ここはこうすればいい」「今回はここを変えてみよう」と考えられるようになること。
そのためには、技法だけでなく「考え方」まで学べるかどうかが重要です。
講師を選ぶときには、レッスン中の完成作品だけではなく、受講後に自分自身で描く力まで育てようとしてくれる先生かどうかも見てみてください。

⑦ 自分は「何のために学びたいのか」を考える
最後に、講師を探す前に一度、自分自身にも問いかけてみてほしいことがあります。
「私は、何のためにアルコールインクアートを学びたいのだろう?」
気軽にアートに触れたいのか。
趣味として楽しみたいのか。
もっと思うように描けるようになりたいのか。
作品を販売したいのか。
将来、講師として誰かに伝えたいのか。
目的によって、必要な学びは変わります。
だから、家から近いとか料金が安いからだけで選ぶのではなく、「自分が進みたいと感じている方向と、その先生が届けているものが合っているか」という視点を持ってみてください。
KANADEL ARTが大切にしているのは「感覚」と「理論」の両方
KANADEL ARTでは、理論に基づいた指導と、すべてをできる限り言語化して伝えることを大切にしています。
でも、それは「感覚なんて必要ない」という意味ではありません。
むしろ逆です。
自分の感覚を自由に表現するために、技術と理論という土台が必要だと考えています。
「こうしたい」と思ったときに、その表現を実現する方法を知っている。
なぜうまくいかなかったのかを理解して、次に活かせる。
そして、その土台の上で自分自身の感覚を解放していく。
それが、私が考える「学ぶ」ということです。
また、私自身も講師である前に一人のアーティストとして、これからも作品を描き続けたいと思っています。
描くことが好きだからこそ分かること。制作を続けているからこそ気づけること。その感覚も含めて、レッスンで目の前の人に還元していきたいと思っています。
最後に|講師選びは、その後のアートとの関わり方を変える
アルコールインクアートの講師を選ぶとき、私はまず「この先生の作品が好き」と心が動く感覚を大切にしてほしいと思っています。
そして、そのうえで見てほしいことがあります。
感覚だけではなく、理論と言葉で教えてくれるか。
「なぜできたのか」「なぜできなかったのか」を説明してくれるか。
先生がいない場所でも、自分で描ける力を育ててくれるか。
そして、講師自身が今も自分の作品に情熱を注ぎ、一人の表現者として描き続けているか。
講師選びに、絶対的な正解があるわけではありません。
でも、自分の心が動く作品と出会い、その感覚を理解してくれる先生から、きちんと技術を学ぶことができれば、アートはもっと自由で、もっと楽しいものになっていくと思います。
「この先生の作品が好き」から始まり、「私もこんなふうに描いてみたい」へ。そしていつか、誰かの作品ではなく、自分自身の表現を見つけていく。
講師との出会いが、そのための大切な一歩になればと思います。

